発行日 2011年12月26日

アートウェブマガジン ヨコハマ創造界隈

vol.15

アートカフェめぐり

「創造界隈」周辺の特色ある街を紹介しながら、注目したい話題のスポットをレポート。ユニークな視点で横浜の創造活動拠点に関する情報を提供している「Yokohama Creative Map(YCM)」がご案内します。

Vol.14 山下公園周辺

季節はめぐり、2011年も残りわずかとなりました。短かった秋の名残の紅葉も、どんどんと葉を落として、さらに寒さが増してきます。さむ〜い冬のアートめぐりに欠かせないのは、冷えた体を温めてくれる場所と飲み物。一緒に出かけた家族や友人とアートの感想を語り合いながらホットチョコレートで指先を暖めるなんて、この季節ならではの楽しみですよね。
今回は横浜観光のメッカ、山下公園周辺にあるCaféをご紹介します。

秋にはイチョウが黄金色に輝く山下公園通り
秋にはイチョウが黄金色に輝く山下公園通り

 

BISTRO RITMO

今年1月にオープンし、まもなく1周年を迎えるKAAT 神奈川芸術劇場1FにあるのがBISTRO RITMOです。劇場公演の前に立ち寄ったり、公演後にゆっくりと食事を楽しんだりと、劇場を訪れる方のニーズに合わせてさまざまな楽しみ方をすることができるよう、劇場の公演予定にあわせてカフェタイムやディナータイムの時間を調整してくれる、気配りの嬉しいビストロです。

KAAT 神奈川芸術劇場
KAAT 神奈川芸術劇場
ペット&喫煙OKのテラス席
ペット&喫煙OKのテラス席

 

RITMOは大桟橋にあるsubzero(サブゼロ)と、みなとみらいパシフィコ横浜にあるDANZERO(ダンゼロ)という二つの本格派フレンチレストランの姉妹店でもあり、シェフはsubzeroにいらっしゃった方なのだとか。劇場を利用されるお客様はもちろん、本格派フレンチをカジュアルに楽しむことができると、subzeroやDANZEROファンのお客様もよく訪れるのだそうです。ゆっくりと食事をしたい方には、コース料理をワインで楽しむなんてこともOK 。事前予約の際に予算を伝えれば、予算に合わせてコースをアレンジしてくれるのだそうです。昼は陽光が差し込むガラス張りの吹き抜け空間に赤を効かせたインテリアもスタイリッシュです。

吹き抜けの開放感ある空間。テレビモニターではスポーツ観戦をすることもできるそうです。
吹き抜けの開放感ある空間。テレビモニターではスポーツ観戦をすることもできるそうです。

 

ビストロといえどもお料理はかなりの本格派。野菜はその日の朝に三浦で収穫された朝穫れ野菜を使用し、お魚やお肉は日本各地から仕入れています。ディナータイムには、日替わりでシェフが旬の食材を巧みにアレンジしたお料理がいくつもメニューに並び、食いしん坊はメニュー選びに困ってしまうほど(それもまた、楽しみですよね)。いまはジビエシーズンということで、熊肉のお料理を作っていただきました。

少しクセのある熊肉に優しい味のソースと苦みのあるお野菜がベストマッチ! ビストロとは思えない本格派のお味
少しクセのある熊肉に優しい味のソースと苦みのあるお野菜がベストマッチ! ビストロとは思えない本格派のお味
熊肉は長野にあるシェフの奥様の実家近くで猟られたもの。野菜ソムリエの資格も持つシェフが作る多彩な料理は期待大
熊肉は長野にあるシェフの奥様の実家近くで猟られたもの。野菜ソムリエの資格も持つシェフが作る多彩な料理は期待大

 

もっと気軽にカフェとして利用したい方におすすめなのは、デザートセット。コーヒーか紅茶がついて850円と、お値段も良心的です。春〜秋にかけてはテラス席で喫煙しながらコーヒーを楽しむこともできます。

凝った花模様のデザインカプチーノは、込み合っていない時間帯にスタッフにお願いすれば作ってくださるそうです
凝った花模様のデザインカプチーノは、込み合っていない時間帯にスタッフにお願いすれば作ってくださるそうです
コーヒーは氷温熟成の豆を使用。400円
コーヒーは氷温熟成の豆を使用。400円

 

KAAT 神奈川芸術劇場1Fのアトリウムでは、NHK主催のジャズライブが行われることもあり、食事やコーヒーを楽しみながらジャズの生演奏を聴く贅沢を味わうことができます。

 

 

THE BUND

山下公園の目の前に位置する名所、横浜マリンタワー1Fにも、陽光がさんさんと降り注ぐ開放感あふれるカフェがあります。山下公園の緑と海上を行き交う船を望む絶好のロケーションにあるのが、イタリアン・カフェのTHE BUNDです。

ガラス窓に面した客席も多く、景色を堪能することができる
テラス席。取材日はイチョウ並木の紅葉をぎりぎり楽しむことができました。
テラス席。取材日はイチョウ並木の紅葉をぎりぎり楽しむことができました。
ガラス窓に面した客席も多く、景色を堪能することができる

やはり観光地ですから、土日祝日は観光客で賑わいます。ゆっくりと過ごすことのできる時間帯は、平日の夕方以降が夜景を楽しむことができておすすめです。地元にお住まいの方は平日のランチタイムに週替わりのパスタランチを楽しみに出かけられるのもよいと思います。テラス席では近隣にお住まいの方がワンちゃんのお散歩ついでにコーヒーを一杯楽しまれていく…そんなふうに利用される方もあるそうです。

週替わりパスタとボリュームたっぷりなサラダ
週替わりパスタとボリュームたっぷりなサラダ
昼下がりにはカプチーノとスウィーツで
昼下がりにはカプチーノとスウィーツで

 

ところで少し話しはそれますが、マリンタワーは横浜開港100周年の記念塔として地元住民の要望から建設され、灯台としての機能を兼ねたものなのだそうです。客席から鮮やかなタイルが見えると思っていたら、このタイル絵はマリンタワー建設当時に、裸の大将として有名なあの山下清氏が下絵を描いて制作されたものなのだとか。

カウンターの奥にちらりと鮮やかなタイルがみえます
カウンターの奥にちらりと鮮やかなタイルがみえます

 

タイトルは『横浜今昔』。2点組の作品で、カフェから見て左側、昼の風景は制作された当時(52年前)の横浜の様子が描かれています。そして、右側に設置されている夜の風景は開港当時の横浜(152年前)の様子。開港当時のタイル絵に描かれた花火は山下清氏が好んだモチーフだそうで、「皆が爆弾じゃなくって花火を作ったら、戦争になんてならなかったのに」という氏の言葉と共に残されたものです。

開港100周年当時の昼の横浜。アドバルーンが昭和を感じさせます
開港100周年当時の昼の横浜。アドバルーンが昭和を感じさせます
開港当時の夜の横浜。上部の窓は階段が設置されていた頃の名残
開港当時の夜の横浜。上部の窓は階段が設置されていた頃の名残
昼景の下部を拡大すると、うっすらとアルファベットが見えます。制作時にタイル職人さんがご自分の名前やイニシャル、恋人の名前を作品を邪魔しないようにそっと残されたそう
昼景の下部を拡大すると、うっすらとアルファベットが見えます。制作時にタイル職人さんがご自分の名前やイニシャル、恋人の名前を作品を邪魔しないようにそっと残されたそう

 

このタイル絵、2009年にマリンタワーをリニューアルした際にお化粧直しをした程度で、ほぼ制作された当時のまま残されています。マリンタワースタッフの今井さんは「私たちもこのタイル絵があることを誇りに思っているんです。」と輝く笑顔で伝えてくれました。

 

マリンタワー50周年を記念して発売されたミネラルウォータは、飲み終わった後にピンクやブルーの色水を入れてインテリアとして楽しんだりすることもできます
マリンタワー50周年を記念して発売されたミネラルウォータは、飲み終わった後にピンクやブルーの色水を入れてインテリアとして楽しんだりすることもできます

 

2階にあるマリンタワーショップには、横浜を拠点に活躍するクリエイターが手がけた、とびきり可愛いオリジナルグッズの数々があります。こうしたグッズを見ていると、マリンタワーは横浜にゆかりのある人々に愛される存在なのだなぁと、とても温かな気持ちになることができました。

 

 

Café Elliott Avenue

マリンタワーから山下公園通りを元町方面に進むとすぐに見えてくるのが横浜人形の家です。この1Fにはシアトル系コーヒーファンとってスペシャルなお店、Café Elliott Avenue(カフェ・エリオット・アベニュー)があります。

人形の家1階のテントが目印
人形の家1階のテントが目印
山下公園通りに面したガラス張りの店内。エスプレッソマシンは国内に5台ほどしかないというもの
山下公園通りに面したガラス張りの店内。エスプレッソマシンは国内に5台ほどしかないというもの

 

なんでも、店主の波多さんと輿石さんは全米トップのコーヒー店、エスプレッソ・ビバーチェのオーナーであるデビット・ショマー氏のもとで修行してきたのだそうです。ショマー氏の焙煎する豆はDream beanと呼ばれ、本来ならばアメリカ国内でしか楽しむことができないものなのですが、波多さんが特別に許可をもらい受けたことで、Café Elliott Avenueには毎週のようにフレッシュなDream beanが届けられるそう。アメリカ国外でショマー氏の焙煎した豆を楽しむことができると、韓国や台湾などからもコーヒーファンが訪れるというから驚きです。

トップバリスタの波多さん。ひとつひとつ丁寧にコーヒーをいれてくれました。
トップバリスタの波多さん。ひとつひとつ丁寧にコーヒーをいれてくれました。

 

本来は紅茶党でコーヒーが苦手という方も、「ここのコーヒーなら飲むことができる!」と、ここで初めてコーヒーの魅力に気がつくという方も多いのだそう。紅茶に負けないほどフレッシュで華やかな香りが広がるコーヒーは、苦みやえぐみが少なくスッキリとした味わいで、比べてみると違いがよくわかります。

ラテアートはいつも目の前で作ってくださるんだそう。女性のお客様からは「可愛い!」という声が
ラテアートはいつも目の前で作ってくださるんだそう。女性のお客様からは「可愛い!」という声が
ラテアートはいつも目の前で作ってくださるんだそう。女性のお客様からは「可愛い!」という声が

 

横浜生まれ横浜育ちの輿石さんは、「シアトルの街は横浜と似ているんです」と話してくださいました。ふたつの都市は歴史的にもつながりが深く、山下公園に停泊している氷川丸は横浜シアトル間を254回も往復していたのだとか。来年は横浜−シアトル航路の100周年にあたるそうです。また、山下公園は関東大震災で出た瓦礫で作られたものでもあるのですが、その震災時にはシアトルから日本に様々な支援物資が届けられ、そのお礼として横浜からシアトルに桜が届けられ、そのまたお礼にとシアトルから今度はバラが送られてきたというエピソードがあります。店名やロゴには、そうしたエピソードをふまえて、「シアトルと横浜をつないでコーヒーを発信していこう」という想いがこめられているのだそうです。

 

シアトルにある山下公園通りとそっくりな通りの名前を店名に。ロゴはロゼッタというイタリア語でバラを意味するラテアートの模様と船の浮き輪を組み合わせたもの
シアトルにある山下公園通りとそっくりな通りの名前を店名に。ロゴはロゼッタというイタリア語でバラを意味するラテアートの模様と船の浮き輪を組み合わせたもの

 

少し甘いものが欲しい方にはフレッシュなオレンジが香るデザート系コーヒーのカフェ・ニコがおすすめ。輿石さんはもともとバーテンダーをされていたそうで、メニューにはないアルコール入りのコーヒーもその場で作ってくれます。寒い季節には暖かいアイリッシュコーヒーなんていいかもしれませんね。カクテル感覚で好みを伝えてオーダーしてみてください。

 

女性に人気のカフェ・ニコ
店内には常連のアーティストによる写真作品が展示されていました
店内には常連のアーティストによる写真作品が展示されていました
女性に人気のカフェ・ニコ

 

文化やコミュニティが生まれるところにカフェありと言われるくらい、カフェは都市空間の憩いの場でもありながら、さまざまなつながりが生まれる所。オーナーのおふたりも、お客様とは必ずコミュニケーションをとっていらっしゃるそうで、この場所を通じて仲良くなった常連客同士もいらっしゃるのだとか。一杯のとびきり美味しいコーヒーには様々なストーリーや想いがぎゅっとつまっているのです。

豆は国内産とDream beanから選ぶことができます。どちらも香りも味わいも異なるので、通って試してみては
豆は国内産とDream beanから選ぶことができます。どちらも香りも味わいも異なるので、通って試してみては

 

今号のアートCaféめぐりはいかがでしたでしょうか? ほんのちょっぴりでもあたたかな気持ちになって頂けたら嬉しいです。それではまた次号をお楽しみに! 良いお年をお迎えください。

 

著者プロフィール

Yokohama Creative Map(友川綾子+介川貴晶)

アーティストやクリエイターの視点で、横浜創造界隈の様々なスポットをマッピングして紹介するウェブサイト。カフェは「使う」拠点として紹介されています。寿町を拠点として活動する寿オルタナティブ・ネットワークにより運営されています。

掲載スポット詳細情報

BISTRO RITOMO
   
住所 神奈川県横浜市中区山下町281
アクセス みなとみらい線 日本大通り駅から徒歩5分、
みなとみらい線 元町・中華街駅から徒歩8分、
JR根岸線 関内駅から徒歩12分
営業時間 Lunch 11:30〜14:00(LO) Tea 14:00〜17:30(LO)
Dinner 17:30〜22:00(LO) close 23:00
*劇場の公演により時間が変動します
定休日 無休
電話番号 045-651-6055
Webサイト http://www.bistro-ritmo.com/
   
THE BUND
   
住所 神奈川県横浜市中区山下町15
アクセス みなとみらい線 元町・中華街駅から徒歩1分
JR根岸線石川町駅から徒歩15分
営業時間 11:00〜23:00
定休日 無休
電話番号 045-263-8115
Webサイト http://www.zetton.co.jp/bund/
   
Café Elliott Avenue
   
住所 神奈川県横浜市中区山下町18 横浜人形の家1F
アクセス みなとみらい線 元町・中華街駅より徒歩3分
営業時間 11:00〜19:00
定休日 月曜(祝日の際は振り替え休日)
電話番号 045-664-5757
Webサイト http://www.elliott.jp/
   

 

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