Catch UP? イベントレポート

ワークショップ、公演、レクチャなどさまざまアプローチで、観客とのコミュニケーションを試みてきたダンサーの岩渕貞太さんが2009年から始めた『ダンスサイクル』プロジェクト。その今年度版『ダンスサイクル2011-2012』のワークショップをレポート。さらに、プロジェクトの今後の展開も紹介します。

ワークショップレポート『岩渕貞太ダンスサイクル2011-2012』

 

『岩渕貞太ダンスサイクル』とは?

『感じて動く、よろこぶ身体』with music 記録 © Hironobu Hosokawa

『岩渕貞太ダンスサイクル』とは、岩渕貞太が本格的に横浜を拠点に創作を開始した2009年から始まった企画です。前年度に、急な坂スタジオSTスポットのげシャーレによるアーティストサポート事業『坂あがりスカラシップ』で新作を制作をしたのをきっかけに、横浜で集中して創作し、実験的な活動を展開しようと立ち上げました。一年かけてワークショップや公演の実施、また自身の活動や考えを伝えるための広報的な実験を行い、アーティスト自らが観客とのコミュニケーションを探るプロジェクトです。

ワークショップは、技術の習得や作品作りを目的とするのではなく、作品創作の過程で岩渕が取り組んでいる課題や方法論をきっかけに、参加者の皆さんとさまざまな実験を行っています。途上のアーティストによるワークショップですので、当初は参加者も少ない状況でしたが、定期的に実施しているうちに沢山の方々にお集まりいただけるようになりました。中には繰り返し足を運んでくれる、リピーターの方もいます。プロジェクトの2年目からは、ゲストを迎えてのワークショップにも挑戦しています。昨年は音楽家の大谷能生さんと共に身体と音楽の関わり方に関する実験を行いました。さまざまな要素が絡み合って作品ができあがる、舞台表現ならではのワークショップではないかと感じています。

 

ワークショップ『手と足』

『手と足』チラシ
ゲスト:桑折現 (演出家・dots主宰)
日時:2011年 7月30日(土) 13:00 - 16:00
会場:急な坂スタジオ
参加者:12名

2011年7月30日、「岩渕貞太ダンスサイクル」の一環として急な坂スタジオでワークショップを行いました。今回のワークショップでゲストにお招きしたのは、京都を拠点に活動する演出家・dots主宰の桑折現さん。以前から、同世代のアーティストの中でも異なるスタイルで活動をする桑折さんとは、互いに情報交換をしながら刺激を受けていました。そんな折、2011年12月に桑折さんが川崎市アートセンターにて発表する新作にダンサーとして出演を依頼され、ちょうどクリエーションのために横浜滞在をしていた桑折さんをゲストにお呼びできることになりました。普段のワークショップでは身体の動かし方をひとりひとり模索する内容が多いのですが、今回は演出家の視点を取り入れ、その動きがどう見えるのか?どんな作用を持つのか?などの考察を加えたワークショップとなりました。

『手と足』記録 © Hironobu Hosokawa

ワークショップの前半は、手先や足先、骨盤などを意識しながら身体をなるべく細かく意識して動かしていきます。
  “指と手首と肘をそれぞれ違う方向に動かす。”
 “足の側面までを足の裏と考えて、足の裏の稼動域を広げる。”
など、岩渕の振付の元になっている身体の使い方を体験します。参加者の皆さんは、真剣な表情で自身の身体と向き合っていました。

『手と足』記録 © Hironobu Hosokawa

後半は手と足の動きを中心に、
 “相手を動かそうとする/動かされるか拒否するかを選ぶ” といった他者との関係性の中から引き出される動きを探りました。岩渕と桑折さん、参加者は、「こうしたらどうなるだろう?」など考えては試し、また試すを繰り返していきました。相手の言うことを全面肯定することもあれば、適当に受け流したり、全く従わなかったり、まるで会話のような身体のやりとりが繰り広げられました。

『手と足』記録 © Hironobu Hosokawa

 

回り始めたダンスサイクル

『ダンスサイクル』というプロジェクト名には、横浜で育った作品や活動が国内の他の地域や海外へでも受容されるようになること、そして他の地域で出会った観客が横浜での実験にも足を運んでくれるようになる循環を目標としてつけられました。

今秋、2010年に本プロジェクトの一環で開始した音楽家を招いての実験シリーズ『UNTITLED』のリ・クリエーション公演をアサヒ・アートスクエアにて行います。初演(音楽:大谷能生/2010年10月/STスポット)の終了後に、「今回の実験をもっと発展させたい」と音楽家の大谷能生さんと話していたのですが、ちょうど一年後に横浜で継続してきた実験を、発展させ発表できる機会を頂きました。

 

Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2011
岩渕貞太ソロ・パフォーマンス『雑木林』
re-creation of 『UNTITLED』w.大谷能生

日程:2011年9月9日(金)・10日(土)
会場:アサヒ・アートスクエア
振付・出演:岩渕貞太  音楽:大谷能生
詳細はこちらから

『UNTITLED』記録 © Kazuyuki Matsumoto

また今年度の『ダンスサイクル2011-2012』でも、引き続き様々な実験を行っていきます。
2012年1月 岩渕貞太ワークショップ(会場:急な坂スタジオ)
2012年2月 新作パフォーマンス(会場:STスポット)

 

これまでのダンスサイクル

ダンスサイクル2009-2010

ワークショップ
『身体地図 Body Map』  会場:急な坂スタジオ
第 A 回「身体操作方法」 2009年 7月 11日・ 12日
第 B 回「身体が考える時間」 2009年 8月 8日・ 9日
第 C 回「身体の接点と距離」 2009年 10月 17日・ 18日
第 D 回「加速する感覚」 2009年 11月 14日・ 15日
http://teita-iwabuchi.com/jp/ws_bodymap1
http://teita-iwabuchi.com/jp/ws_bodymap2

 

公演
『細胞の音楽』 2010年1月29日〜31日
会場:のげシャーレ
振付:岩渕貞太
出演:岩渕貞太 高橋純一 トチアキタイヨウ 山下彩子
http://teita-iwabuchi.com/jp/saibo

ダンスサイクル2010-2011

ワークショップ
『感じて動く、よろこぶ身体。』
A. 基礎コース 2010年6月13日
B. 応用コース 2010年7月17日

「身体に向き合う」 2010年9月26日
「操られる身体」 2010年10月31日

『感じて動く、よろこぶ身体。』with music
ゲスト:大谷能生(批評家・音楽家)
2011年1月8日・9日
http://teita-iwabuchi.com/jp/ws_yorokobu
http://teita-iwabuchi.com/jp/ws_yorokobu2
http://teita-iwabuchi.com/jp/ws_yorokobu3

 

公演
ソロ・パフォーマンス 『UNTITLED』
2010年10月14日〜16日
http://teita-iwabuchi.com/jp/untitled_ootaniS

 

岩渕貞太プロフィール

岩渕貞太[いわぶち ていた]
ダンサー・振付家。玉川大学芸術学科にて演劇を専攻。ダンサーとして、APE、ニブロール、伊藤キム+輝く未来、Co.山田うん、Ko & Edge.Coなどに参加。2005年より自身の作品を発表。08〜09年、坂あがりスカラシップに採択される。近年には、ワークショップの実施や音楽家との実験作『UNTITLED』を開始するなど活動の幅を広げている。世田谷美術館でのソロ『錆び』などを発表。アサヒ・アートクスエア「Grow up!! Artist Project 2011」サポートアーティストとして活動している。
公式ウェブサイト http://teita-iwabuchi.com

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