
構成/インタビュー 茂市玲子
編集/テキスト 平井莉生
写真 高橋宗正
撮影場所(人物) 横浜美術館
3年に1度、横浜で開催される現代アートの国際展<横浜トリエンナーレ>。開催年にあたる今年は、いよいよ8月6日から11月6日まで、横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)をメイン会場に開催されます。<ヨコハマトリエンナーレ2011>では、新進気鋭の若手作家を紹介することにも力を入れています。1980年代生まれの金理有さんも、今回出品が決まっているアーティストのひとり。陶芸という長い歴史を持つ技法を用いながら、ストリートカルチャーやSF、マンガなど80年代生まれに馴染みの深い要素を作品にとり込む金さんは<ヨコハマトリエンナーレ2011>に向けてどのような意気込みでいるのか、会場の下見を終えられた後の横浜美術館にてお話を伺いました。
これまで<横浜トリエンナーレ>は観に行く側だったので、出展の依頼をいただけてとても光栄です。陶芸家が現代美術の祭典に出展することはこれまでにもあまりないことだと思うので、今回いただいた機会は現代の少し閉鎖的になっている陶芸界にとっても良いことだと思います。

大学進学について考えた時に、「4年間も机で勉強するのは向かん!」と思い、進学先に一般大ではなく美大を選んだのが一番始めのきっかけです。自分で奨学金を取って進学するという親との約束があったので、尚更、大学では自分の好きなことをやりたいと思っていました。でも、「美大進学」という目標を持ったのが高校3年の冬。デッサンも何も勉強していない状態だったので受験には当然失敗してしまい、浪人して画塾に通いました。その頃、陶芸との出会いがありました。次の受験を控えている時に、父親が仕事で台湾に行くということになったので気分転換も兼ねてついて行ったんです。台湾で泊ったホテルの下にギャラリーが併設されていて、そこで行われていたのが「現代陶芸展」でした。展覧会を見てみると、これまでに僕がイメージしていた陶芸からはかけ離れた「わけのわからない物体」が並んでいた。「こんな変な物ばかり作ってもいいんだ」と、価値感の転換がありました。そこで、帰国してからすぐに併願受験の希望に陶芸コースを加えたんです。結果、まず陶芸コースに合格したので、その後の受験をやめて陶芸コースに進学することにしました。
「陶芸の持つ人体との相似性をよりわかりやすく、焼くことの偶然性をより引き出した作品です。人間の頭部が思考の器になっているというイメージを直接的に表わしたものです。」
(《骨、皮膚、あるいはうつわ》 素材:陶 制作年:2011年 所蔵先:作家、個人蔵)
陶芸は、技術的な訓練が必要です。最初は思い通りにいかなくてイライラすることばかりでした。それでも続けていくうちに、窯に入れたものが窯から出した時に全く違う様子に変化するところに魅力を感じるようになったんです。絵具で描いていてもこの質感は表わせないなと、焼き物の質感にハマって勉強を続けていくと、その長い歴史や人々の生活との密な繋がりなど、考えなければいけないことがたくさん見つかって、これは一生かけてやっていかなければいけないんじゃないかと思いました。