Catch UP? イベントレポート

TPAMiY2011 レポート vol.2
“国際舞台芸術ミーティングin横浜 /
TPAM in Yokohama”
(2011年2月16日~2月20日)
過去14回開催した「芸術見本市(TPAM)」が「Market」から「Meeting」に生まれ変わり、 国際都市・横浜で「国際舞台芸術ミーティング in 横浜(TPAM in Yokohama)」として再始動。 前号に引き続き、実施レポート第2弾をお届けします。

併設事業のIETMサテライト・ミーティングin横浜(以下、IETMiY)に続き、TPAM in Yokohama(以下、TPAMiY)が開幕。IETMiYは、ヨコハマ創造都市センターを中心に開催されましたが、TPAMiYは、メイン会場だけでも3会場、それにさらにBankART Studio NYK、象の鼻テラス、横浜赤レンガ倉庫1号館、にぎわい座が加わり、さらにSTスポットや横浜美術館レクチャーホールでも公演が実施されるという大規模なもの。事務局スタッフとボランティアスタッフの、会場間を移動しながらの奮闘も始まります。

ご存じかもしれないですが、今回TPAMは、”From Market to Meeting”というメッセージを掲げています。これは、言うまでもなく”Market”というものを否定するわけではなく、そこに続くプロセスとしての”Meeting”をもっと大事にしよう、という気持ちが込められています。公演を見ていただくことも、とても重要なのですが、内外から集まった人と人とが出会い、交流する「仕掛け」となる舞台芸術の国際的プラットフォーム。それこそTPAMが目指すものです。いくつものプログラムがありますが、その中から特に、この”Meeting”ということを強く意識したものをご紹介します。


TPAM Direction


TPAM Diectionは、「しっかりとしたコンセプトを基盤に魅力的なプログラムを作る制作者を育成するための実践・実験場」として、新設されたプログラムです。今回は、中村茜さん、小倉由佳子さん、野村政之さんをディレクターに迎えました。会場は、KAAT神奈川芸術劇場。2011年1月にオープンしたばかりの会場です。3人のディレクター全員が「劇場」を使用するかと思いきや、アトリウムを使ったり、アトリウムから劇場へと移動しつつ観劇というプログラムがあったりと、縦横無尽に会場を使用させていただきました。これから国際的にも活躍して行くであろう「旬」のアーティスト・作品がプログラムされています。

上演作品
○中村 茜ディレクション [ 2月16日(水) ]
悪魔のしるし 『搬入プロジェクト』、鉄割アルバトロスケット 『クラックアイアン』、contact Gonzo

○小倉 由佳子ディレクション [ 2月17日(木) ]
ボヴェ太郎 『Lingering Imagery of Reflection ―能《井筒》―』、山下残 『大行進』、contact Gonzo/the downhill 『the vanishing paragraph and the clouds of hell』

○野村 政之ディレクション [ 2月19日(土) ]
青年団+大阪大学・ロボット演劇プロジェクト(平田オリザ・石黒浩研究室・(株)イーガー 共同製作)
ロボット演劇 『働く私』、アンドロイド演劇 『さようなら』

http://www.tpam.or.jp/2011/j/tpam_direction/


 

 

Speed Networking


「Speed Networking」というのは、「Speed Dating」とも言われていて、海外では割と定番となっているプログラムです。僕もアメリカ・ニューヨークで毎年1月に行われる「Under the Radar」(http://www.undertheradarfestival.com/)というフェスティバルで行われた「Speed Networking」に参加をしたことがあります。会場内にいくつも机があり、そこにはフェスティバルや劇場のディレクターやフリーのプロデューサーが着席しています。こちらの持ち時間は5分。その間に、自分の活動のプレゼンテーションと質疑応答を行います。5分が過ぎたところで鐘がなります。すると、次の机に移動してプレゼンテーションを、というのを10回くらい続けました。興味をもってもらえると、夜の食事に誘われたり、そのままランチ・ミーティングになったり。なにかが即決で動くわけではないのですが、人と知り合いには絶好のチャンスなのです。今回のSpeed Networkingは、そこまで大規模なものではないですが、主にアメリカのプレゼンターに焦点を絞って行われました。舞台芸術の世界には「制作者」と呼ばれるビジネス的な側面のマネジメントを行うスタッフがいるのですが、こういうときこそ制作者の皆さんの出番。自分たちの活動を紹介するだけではなく、情報も得られるので、とても有益です。もちろん自分の足で現地にいって人に会う、そういうコミュニケーションから作るネットワークは重要なのですが、TPAMのような催事を利用して、その「材料」を集めてもらったり、すでにもっているネットワークをさらに広げていってもらえると、とても嬉しいです。これはまさにTPAMならではのプログラムだと思います。

 

 

ヴィジュアル・プレゼンテーション Plus


ヴィジュアル・プレゼンテーションは、アーティストや舞台芸術の関連団体が、映像資料を使って自分たちの活動をプレゼンテーションするプログラムです。TPAMでは、もはやお馴染みのプログラムなのですが、今回は映像プレゼンテーションだけではなく、実演を交えたプレゼンテーションのプログラムとして更新されました。会場は、ヨコハマ創造都市センターの1F。劇場ではない空間でありますが、皆さんそれぞれに工夫をしてくださいました。インターネット上の仮想空間を使ったり、映像素材のみの直球があったり。けど、やはり一番多いのは実演と映像とを組み合わせたプレゼンテーション。ただでさえアイディアとバイタリティに溢れる方ばかりなので、やりたいことは尽きない・・・、という感じがひしひしと伝わってきます。

参加アーティスト、団体
Ballet Pixelle、城市当代舞踏団/City、Mancopy Dance Company、DROLES DE DAMES COMPANY、ネルケブレインズアンドハーツ、ミュージックパフォーマンス'tayutauta'、京都ロマンポップ、双数姉妹、快快、DAZZLE、オリジナルテンポ、オンパロス、ちくは、ひょっとこ乱舞、金沢21世紀美術館/高知県立美術館、山縣美礼、大橋可也&ダンサーズ、パブリック・アイ

http://www.tpam.or.jp/2011/j/v_presentation/


 

 

コミュニケーション・プログラム


コミュニケーション・プログラムというのは、広義に使用され、レセプションなどのパーティーやワークションなども含まれます。土方巽『疱瘡譚』完全版の世界初デジタル(DVD)上映など映画上映も開催。しかしながら、今回横浜でTPAMを開催してみてびっくりしたのですが、横浜は本当にパーティー・シティ!皆さん、集まってわいわいがやがやが大好きなんですね。このことも海外のフェスティバルを彷彿させるものがありました。海外のフェスティバルでは、多くの場合「夜のたまり場」的なラウンジが指定されていて、公演チケットやパスでディスカウントなどのサービスを受けられることが多くあります。関係者は、夜(時には深夜です!)になってすべてのプログラムが終わるとラウンジに集まって、あれが良かったこれが良かったなどと率直に語り合うのです。ただの雑談に見えるかもしれないですが、こういったやりとりもとても重要なミーティングです。何もセミナーや劇場にだけ交流があるわけではありません。しかも、今回は徒歩圏内で移動できる会場をいくつも使用したので、他の大都市ではバラバラになりがちな移動も一緒だったり、インティメートな関係を持っていただけたのではないかと思います。夜は概ねCafé Vacationというヨコハマ創造都市センター近くのラウンジに集合。日中は、ヨコハマ創造都市センター1Fのカフェや象の鼻テラス、BankART Studio NYKのパブなどで語り合う参加者の姿が見られました。特に、芸術関連の書籍やDVDが充実しているBankART Studio NYKでたくさんお買い物をした海外からの参加者もいました。

TPAMは2012年も横浜での開催を予定しています。国際的な舞台芸術交流を軸にしながら、人や街などがさまざまな形で関わるより親密で幅広い”Meeting”の可能性を探っていきたいと思います。演劇やダンスに慣れ親しんでいない方にも、是非この機会に参加をしてみてください。来年2月、皆さんの参加をお待ちしています!





著者プロフィール

佐藤 道元[さとう みちもと]
国際舞台芸術交流センター/TPAMiY(国際舞台芸術ミーティングin横浜)事務局 [メール])

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